
よくある疾患・
症状についてCOLUMN
こちらのブログでは、患者さまからよくご相談をいただく症状や病気について、実際の当院での治療例を交えてご紹介しています。
患者さまの病気に関するお悩み解消のお役に立てれば幸いです。
犬と猫の歯周病(歯石・口臭・歯肉炎)|JAHA認定医が詳しく解説
🐾 犬と猫の歯周病とは?
犬の歯周病は、歯の表面に付着した歯垢(プラーク)が歯石化し、歯肉や歯を支える組織(歯周組織)に炎症を起こす病気です。
歯周病は、主に口腔内での歯周病菌の増殖が原因として引き起こされることがわかっており、愛犬の歯の表面に付着した細菌が集まって歯垢と呼ばれる細菌の塊を形成することから始まります。

歯垢が付着して約3日ほどで犬の唾液中に含まれるミネラルにより、歯垢が歯石に変化します。歯石は非常に強固な力で歯に付着しているため、歯ブラシでは除去できません。歯石が付着した歯の表面はザラザラとしており、さらに新たな歯垢が付着しやすくなります。これらを繰り返し、歯周病菌が増殖した結果、歯茎に炎症が発生・進行していきます。
犬と猫は人と比較して歯周病になりやすいことに注意が必要です。特に、小型犬や短頭種はよりその傾向が強く見られます。これは、顎の大きさや歯並びのどの影響により、歯垢と歯石が蓄積しやすいことが要因として考えられます。
また、犬と猫は私たちヒトと異なり、口腔内環境がアルカリ性のため、より早く歯垢が歯石に変化しやすいことがわかっています。(歯垢が歯石に変わる日数は、犬で約3~5日、猫で約7日と言われています)

さらに、小型犬は各々の歯を支える歯槽骨の骨量が少ないため、歯周病により歯が抜けてしまう可能性が高くなることがわかっています。
歯周病は、3歳以上の犬の約8割が罹患しているともいわれ、動物病院で最も多く診察される口腔疾患のひとつです。
口臭、赤み、歯石、出血、重度では歯が抜ける、骨折、顔が腫れるなどの症状が出ます。歯周病は、歯石や歯垢の蓄積が歯肉炎や歯周炎を引き起こし、重度の場合は歯根膜炎や歯周組織的破壊を引き起こすことがあります。特に小型犬や老犬はリスクが高いです。
治療は主に動物病院での歯石除去(スケーリング)や抜歯が行われ、予防には、日々の歯磨きやデンタルケア製品の利用が必須です。
歯周病は単なる「口臭」の問題ではなく、進行すると以下のような深刻な症状を引き起こします。
🐾 歯周病の症状
- 強い口臭
- 歯ぐきの腫れ・出血
- 歯のぐらつき・脱落
- 頬の腫れ(歯根膿瘍)
- くしゃみや鼻水(口鼻瘻管)
- 顎の骨折(重度例)
さらに、慢性的な炎症は心臓・肝臓・腎臓など全身疾患への影響も指摘されています。


🐾 犬の歯周病の原因
1. 歯垢と歯石の蓄積
食後に付着する歯垢は、約3日で歯石へと変化します。歯石は自宅での歯みがきでは除去できません。
2. 小型犬・短頭種のリスク
特に以下の犬種は歯周病リスクが高い傾向があります。
- トイ・プードル
- チワワ
- ヨークシャー・テリア
- ダックスフンド
- フレンチ・ブルドッグ
歯並びの密集や顎の構造が関与します。
3. 自宅ケア不足
歯みがき習慣がない場合、歯周病の進行は早くなります。
🐾 歯周病の進行ステージ
🔵 ステージ1:歯肉炎
歯ぐきが赤く腫れる段階で、多くの場合明らかな症状は認められません。まだ歯を支える骨(歯槽骨)の構造は保たれています。
🟡 ステージ2:軽度歯周炎
初期の歯周炎で歯の支持構造が少し弱くなった状態です(歯のアタッチメントロスが25%以下)。歯と歯肉の間の溝(歯肉溝)が深くなり始め、歯垢が溜まり始めます。歯周ポケットが深くなり、骨吸収が始まるため、口臭が強くなります。
🟠 ステージ3:中程度歯周炎
ステージ2より歯周炎がさらに進行した状態で、歯を支える支持構造に炎症が広がり、支持構造の25%~50%が失われた状態です。レントゲン画像では、歯槽骨の骨量の減少が認められ、大きな歯周ポケットが認められるようになります。
🔴 ステージ4:重度歯周炎(歯槽膿漏)
歯のぐらつき・膿瘍形成・顎骨の脆弱化が見られます。歯周炎が進行し、歯の支持構造が50%以上失われた状態で、抜歯が必要になることもあります。
🐾 当院の歯周病検査・診断
当院では、以下の精密検査を行います。
■ 視診・触診による口腔内精査
身体検査により、歯の状態や歯垢レベルを視診・触診により評価します。同時に、歯周病が進行してしまうその他の原因(ex. 歯列異常、口腔内腫瘍、感染症など)や歯周病による合併症(外歯瘻、内歯瘻、唾液腺嚢腫など)がないかを確認します。
■ レントゲン検査
歯の根や顎骨の状態を確認し、見えない歯周病を診断します。
■ 歯周ポケット測定
無麻酔スケーリングでは歯周ポケット内部の評価はできません。
当院では安全な全身麻酔管理下で精密評価を行います。1本1本の歯を詳細に評価します。
🐾 犬の歯周病治療
- スケーリング(歯石除去)・ポリッシング(研磨)
超音波装置により歯茎に固着した歯石を破砕・除去します。同時に歯周ポケットに侵入した歯石や汚れも超音波装置によりきれいに除去します。
歯石を取り除いた後は、歯の表面を研磨剤で磨き上げることにより新たな歯石の沈着を防ぐ目的でポリッシング(研磨)を同時に実施します。


- 抜歯処置
歯周病の進行により、歯の状態や歯の支持組織が著しく悪い場合は、感染や歯槽骨骨量のさらなる減少を防ぐ目的で抜歯処置を行います。
もちろん、永久歯は1度抜歯してしまうと新しい歯は生えてこないため、抜歯をおこうなう歯は事前検査で慎重に見極めます。

🐾 ご家庭での予防ケア~ご愛犬・ご愛猫さんの歯を守るために~
毎日ごはんを食べていれば、必ず歯に汚れはつきます。ただし、正しく毎日歯磨きを行えば、大切なご家族である愛犬・愛猫さんのお口の健康を守り、歯周病の進行を防ぐことができます。
私たちヒトも毎日歯を磨くように、大切なご家族である愛犬・愛猫さんの歯もできる範囲で歯磨きを定期的に行い、お口の健康を維持しましょう。
当院では、以下のデンタルケアを推奨しています。
- デンタルブラシ+デンタルペースト
- デンタルペースト
- デンタルガム
- 液体デンタル


1. デンタルブラシ
デンタルブラシは、歯の表面や歯と歯ぐきの境目に付着した歯垢(プラーク)を直接除去できる最も効果的な方法です。
特徴
- 細かい毛先で歯周ポケット周辺までアプローチ
- 歯石の原因となる歯垢を効率よく除去
- 継続することで歯周病予防に大きく貢献
特に、歯周病予防においては歯みがきが最も効果的なケアとされています。
2. デンタルペースト
ペット専用のデンタルペーストは、歯みがきの効果を高めながら、無理なくケアを継続できるようサポートします。
特徴
- 嗜好性が高く、歯みがきへの抵抗を軽減
- 口臭の原因菌の増殖を抑制
- 研磨剤が少なく歯にやさしい設計
- 飲み込んでも安全な成分
※人用の歯みがき粉は使用できませんのでご注意ください。
このような方におすすめです
- 本格的に歯周病予防をしたい
- 口臭や歯石が気になる
- 若いうちからケア習慣をつけたい
- デンタルガムだけでは不安な方
効果的な歯みがきのポイント
- 1日1回を目安に継続することが重要
- 最初は短時間からスタートし、徐々に慣らす
- 歯と歯ぐきの境目を優しくブラッシング
- 無理をせず、できる範囲から習慣化
歯石がすでに付着している場合は、スケーリング(歯石除去)を行った上で、ご家庭でのケアを継続することが重要です。

3. デンタルガム
デンタルガムは、噛むことで歯の表面に付着した歯垢(プラーク)を物理的に除去し、歯石の形成を抑制するサポートをするケア用品です。
- 噛むことで歯垢を除去
- 唾液の分泌を促進し、口腔内の自浄作用をサポート
- 口臭の軽減にも効果が期待できます
このような子におすすめです
- 歯みがきを嫌がる犬・猫
- 口臭が気になる
- 歯石がつきやすい体質
- 日常的な予防ケアを始めたい
※すでに歯石が多く付着している場合は、スケーリング(歯石除去)後の維持ケアとしての使用が効果的です。
動物病院が推奨する理由
市販のガムと異なり、当院で取り扱うデンタルガムは安全性・嗜好性・機能性に配慮された製品を厳選しています。
- 消化に配慮した素材
- 適切な硬さで歯や歯ぐきを傷つけにくい設計
- 科学的根拠に基づいたオーラルケア効果
ペットの体格や年齢、歯の状態に合わせて最適な製品をご提案いたします。
与え方のポイント
- 1日1回、適量を継続して与える
- 丸飲みを防ぐため、必ず飼い主様の目の届く範囲で
- 主食の代わりではなく「補助的ケア」として使用

4. 液体デンタル
液体デンタルは、飲み水に混ぜるだけでお口の環境を整えるケア用品です。歯磨きが苦手なワンちゃんでも、ストレスなく口腔ケアを行うことができます。
■ 主な効果
・口臭の軽減
・歯垢(プラーク)の付着抑制
・歯石の形成予防
・お口の中の細菌バランスを整える
毎日継続することで、歯周病の予防・進行抑制が期待できます。
■ こんなワンちゃんにおすすめ
・歯磨きを嫌がる
・口臭が気になる
・歯石がつきやすい
・高齢でブラッシングが難しい
■ 使用方法
普段の飲み水に規定量を混ぜるだけでご使用いただけます。特別な準備は不要で、忙しいご家庭でも簡単に取り入れられます。
■ 注意点
液体デンタルケアはあくまで補助的なケアです。歯ブラシによるブラッシングや定期的な動物病院での歯科チェックと併用することで、より高い効果が期待できます。

歯周病は予防できる病気です。
当院では、歯科検診からスケーリング(歯石除去)、ご自宅でのデンタルケアに関するアドバイスまで幅広く対応しています。
ご愛犬・ご愛猫さんのオーラルケアについてお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
<連絡先>
☎️TEL: 03-6454-7522/ 📠 FAX: 03-6454-7533
📩Mail: oliver.ah3737@gmail.com
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