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よくある疾患・症状について

よくある疾患・
症状について
COLUMN

こちらのブログでは、患者さまからよくご相談をいただく症状や病気について、実際の当院での治療例を交えてご紹介しています。
患者さまの病気に関するお悩み解消のお役に立てれば幸いです。

犬の僧帽弁閉鎖不全症とは?|症状・原因・治療法をくわしく解説

🐾 僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)とは

~ 高齢のワンちゃんに多い心臓の病気 ~

僧帽弁閉鎖不全症とは、犬の心臓病の中でも特に多く見られる病気で、高齢の小型犬に多く発症します。心臓の左側にある「僧帽弁(そうぼうべん)」という弁がうまく閉じなくなることで、血液が逆流し、心臓に負担がかかる状態です。

🐾 主な症状 

~こんな症状ありませんか?~

  • 咳が出る(特に夜間や朝方に多い・運動時にも出やすい)
  • 疲れやすい・元気がない
  • 呼吸が荒い・苦しそう
  • 運動を嫌がる
  • 食欲不振
  • 失神
  • 舌や歯肉が紫色になるチアノーゼ

これらの症状が見られる場合は、すぐに動物病院での診察をおすすめします。

🐾 原因と好発犬種

僧帽弁閉鎖不全症の主な原因は、加齢による弁の変性です。また、以下の犬種は特に発症リスクが高いとされています:

  • キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
  • マルチーズ
  • チワワ
  • トイ・プードル
  • ヨークシャー・テリア

🐾 診断方法

当院では以下の検査を実施して診断を行います:

  • 聴診(心雑音の有無の確認)
  • レントゲン検査(心臓の大きさ)
  • 超音波検査(心臓の動き・逆流の確認)
  • 血液検査(心臓負担の指標をチェック)
  • 血圧検査・心電図検査など

🐾 ACVIMステージ分類による進行度の評価

僧帽弁閉鎖不全症は進行性の病気ですが、ACVIM(米国獣医内科学会)のガイドラインにより、病気の進行度をA~Dのステージで分類することができます。

ステージ特徴治療の必要性
A好発犬種だが症状なし無治療によりモニタリング
B1心雑音あり・心臓の拡大なし定期検査(半年〜年に1回)
B2心雑音あり・心拡大あり薬による治療開始(例:ピモベンダン)
C咳や肺水腫などの症状がある複数の薬による治療が必要
D治療抵抗性の重度心不全集中的・専門的治療が必要

ステージB2以降は治療を始めることで、進行を遅らせ、生活の質を保つことが可能です。

●ステージA

  • 対象:将来的にMMVDを発症するリスクがある犬(例:キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなどの好発犬種)
  • 状態:臨床症状も心雑音もなく、心疾患はまだ発症していない
  • 治療:必要なし。定期的な検診とモニタリング

●ステージB

MMVDを発症しているが、まだ心不全の症状がない段階

【 B1 】

  • 僧帽弁逆流(心雑音)はあるが、心拡大が見られない
  • X線や超音波検査で心臓の構造的変化なし
  • 治療:基本的に内科治療は不要。定期的なモニタリング

【 B2 】

  • 僧帽弁逆流により、心拡大が認められる
  • X線や心エコーで左心房・左心室の拡大を確認。
  • 治療ピモベンダン(強心薬)などの投与が推奨される段階(投薬治療開始)

● ステージC

  • **心不全の症状(咳、呼吸困難、運動不耐性、肺水腫など)**が出現。
  • 現在症状があるか、過去に肺水腫などのエピソードがある
  • 治療:ピモベンダン、ACE阻害薬、利尿薬などによる内科治療が必要。

● ステージD

  • ステージCの治療では十分な効果が得られない重症例
  • 治療抵抗性の肺水腫やその他の心不全症状が繰り返す。
  • 治療:多剤併用、利尿薬の増量、酸素療法など。集中的な治療が必要。

📌 ポイント

  • ステージB2は治療開始の分岐点です。
  • ステージC以降は肺水腫(はいすいしゅ)を発症すると、肺に水が蓄積して呼吸困難となり命に関わることもあります。そのため、早期発見・早期治療、継続的なフォローアップが重要です。
  • 心雑音を早期に発見し、超音波検査などで正確なステージ評価を行うことが推奨されます。

🐾 治療方法と管理

僧帽弁閉鎖不全症は完治が難しい慢性疾患ですが、内科的治療(投薬)で進行を抑え、症状を緩和することが可能です。

💊 主な治療内容:

  • 強心剤:心臓の働きを助ける薬(ピモベンダン)
  • 利尿剤:心臓のうっ血を取り除き肺水腫を防ぐ(フロセミド・トラセミド ・スピロノラクトンetc)
  • ACE阻害薬:血管を広げる薬(アラセプリル・べナゼプリル etc)
  • その他(Caチャネル拮抗薬・抗血栓薬など)

進行状況によっては、弁形成術や弁修復術などの外科手術が適応となる場合もあります。

🐾 早期発見・早期治療が鍵

僧帽弁閉鎖不全症は早期発見・早期治療が非常に重要です。定期的な健康診断や心臓のチェックを行い、異常が見つかった場合には早めの治療を始めることで、ご愛犬とより長く快適に暮らすことができます。

【まとめ】犬の僧帽弁閉鎖不全症について

  • 高齢の小型犬に多い心臓病
  • 主な症状は咳・疲れやすさ・呼吸困難など
  • 内科治療で進行をコントロール可能
  • 定期的な検診が早期発見の鍵

当院では、東京大学附属動物医療センターで犬と猫の循環器疾患の診療に従事してきた実績をもつ獣医師が在籍しており、心臓病の早期診断・治療に力を入れています。
ご愛犬さんの心臓病についてお悩み事がございましたら、お気軽にご相談ください。また、現在すでに心臓病の治療を実施しており、治療方針に疑問がある方を対象としたセカンドオピニオンも受け付けております。ぜひお気兼ねなく当院までお問い合わせください(📞 03-6454-7522)

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