
よくある疾患・
症状についてCOLUMN
こちらのブログでは、患者さまからよくご相談をいただく症状や病気について、実際の当院での治療例を交えてご紹介しています。
患者さまの病気に関するお悩み解消のお役に立てれば幸いです。
犬の蛋白漏出性腸症(PLE)について|消化器専門診療獣医師が詳しく解説
蛋白漏出性腸症(Protein-Losing Enteropathy:PLE)は、腸から血液中のタンパク質(主にアルブミン)が異常に失われる病態です。重症化すると低アルブミン血症を引き起こし、腹水・浮腫・食欲不振・慢性下痢・体重減少などの症状を呈します。放置すると命に関わる場合もあり、早期診断と専門的治療が重要です。
当院では、東京大学附属動物医療センターで消化器疾患の診療に従事し、消化管内視鏡検査による診断・治療を長年実施してきた獣医師が犬と猫の消化器疾患に特化した専門診療を提供しています。
PLEの原因特定から治療プランの最適化まで総合的にサポートしていますので、ご愛犬のPLEの治療についてお悩みがございましたら、お気軽に当院までご相談ください。
🐾 PLEの主な原因
犬のPLEは単一の疾患ではなく、**様々な腸疾患によって引き起こされる「症候群」**です。
主にPLEの原因となる代表的な病気は以下のものが挙げられます。
- 炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Disease)
腸管に慢性的な炎症が生じ、炎症細胞の腸粘膜への浸潤によりリンパ管の拡張が生じてタンパクが漏出。慢性的な消化器症状を示すペットの代表的な消化器疾患です。 - 腸リンパ管拡張症(IL:Intestinal Lymphangiectasis)
腸のリンパ管が破綻し、リンパ液が腸管内腔へ漏れ出てしまうことでタンパク漏出性腸症を生じます。ILはヨークシャ・テリアなど小型犬で発生が多く報告されています。

- 腫瘍性疾患(消化器型リンパ腫など)
消化器型リンパ腫など、腸管に発生した腫瘍が腸管のリンパ管を破壊することで、腸管内腔にリンパ液が漏出することでタンパク漏出性腸症が発生します。

- 感染症・寄生虫症
寄生虫感染により腸管のリンパ管が破壊され、リンパ液の漏出が生じます。(ex. パルボウィルス感染症, 鉤虫やジアルジアなどの重度感染)
それぞれ、原因により治療戦略が大きく変わるため、正確な診断が最重要です。
🐾 PLEの代表的な症状
PLEを発症した犬では、以下のような症状が認められます。
- 慢性的な下痢、粘液便または軟便
- 食欲低下または逆に異常な食欲
- 体重減少、筋肉の萎縮
- 腹部が張る(腹部膨満:腹水貯留)、四肢の浮腫
- 活動性低下、皮膚・被毛の艶低下
上記の症状が数週間以上続く場合は、早めの受診をおすすめします。
🏥 当院のPLE専門診療 ― 高精度な診断とエビデンス(医学的根拠)に基づく治療
◆ 1. 総合的な検査アプローチ
PLEの診断には、複数の検査を組み合わせて原因を特定します。当院の消化器専門診療では特に、上部・下部消化管内視鏡検査と生検を実施し、PLEの原因特定に力を入れています。
- 血液検査
総タンパク(TP)・アルブミン(ALB)、炎症マーカー(CRP)・コレステロール(T-cho)、電解質、状況に応じて血清コバラミンなどを測定します。 - 糞便検査
寄生虫感染の有無を評価します。 - 腹部超音波検査(エコー)
腸壁の肥厚・リンパ管拡張(消化管粘膜層の評価, ゼブラサインなど)・腹水の有無を詳細に観察。そのほか、腫瘍性疾患などの評価も同時に行います。

- レントゲン検査 心疾患など腹水貯留の原因となる他疾患の除外のため実施します。
- CT検査
PLEの原因となる基礎疾患が腫瘍性疾患だった場合に、病変の範囲を特定するためにCT検
査を実施する場合があります。また、病変が内視鏡の届かない部位に存在する場合にもCT
を撮影し、病変の場所を特定した後に針吸引生検を実施する際にもCT検査が有用です。

- 消化管内視鏡検査/組織生検
上部消化管(胃・十二指腸)、下部消化管(空回腸、結腸、直腸)に対して、内視鏡のスコープを挿入し、実際の腸粘膜を観察します。同時に消化管粘膜から内視鏡の生検鉗子を用いて組織生検を行い、診断の確定を行います。

🐾 当院では消化器専門獣医師が読影・組織学的評価まで行い、診断の精度を最大限担保
します。
◆ 2. 治療プランは犬ごとに完全個別化
PLEは原因により大きく治療が異なります。当院では診断結果に基づき根拠ある治療を行います。
🔹 食事療法(最重要)
- 超低脂肪食:リンパ管拡張症に有効
- 加水分解タンパク食/低アレルゲン食:IBDや食物反応性腸症に適応
- 腸管サポート栄養食(可溶性繊維・オメガ3脂肪酸)
🔹 薬物療法
- ステロイド(プレドニゾロン、ブデソニドなど)
- 免疫抑制剤(シクロスポリン、ミコフェノール酸もフェチルなど)
- 抗菌薬:二次感染やSIBO(小腸細菌過剰増殖)を疑う時
- その他:腹水の吸引、輸血など
- ビタミンB12補充:吸収障害を伴う症例で重要
🔹 腫瘍や重症例への対応
- 腫瘍性疾患では腫瘍科専門治療(化学療法を含む)を実施
- 低アルブミンが著しい場合は入院・集中的治療による管理を実施
◆ 3. 治療後も継続サポート
PLEは治療開始後の経過観察が最も重要です。
治療が上手く奏功した場合は、なるべく治療による負担を少なくしつつ、治療効果は最大限得られるように、動物の状態を正確に把握し、投薬量や食事やサプリメントの選択を慎重に行います。
- 定期採血でアルブミン値の推移を確認
- 症状・体重の変化を細かく評価
- ステロイドや免疫抑制剤等の用量を治療効果に合わせて微調整
- 食事変更の効果判定と微調整
- 再発予防のための長期プランをご提案
“改善したから終了”ではなく、治療が無事成功した後も病気が再発しないように、患者様ごとに最適な治療法(投薬の調整、食事療法、腸内環境を整えるサプリメントなど)をご提案します。
🔍 PLEは早期発見が鍵
PLEは症状が目立つ頃にはすでに低アルブミンが進行していることが多く、「様子を見る」よりも早期受診が大切です。
小型犬(ヨークシャーテリア・ポメラニアン・マルチーズなど)では特に注意が必要です。
📩 ご相談・ご予約
当院は犬と猫の消化器疾患に特化した専門診療を行っています。
「慢性的な下痢」「体重が落ちる」「浮腫がある」などのPLEを疑う症状が認められた際は、早めに当院までご相談ください📞
また、当院ではPLEの治療に関してセカンドオピニオンも受け付けています。これまでの診療経過や、治療法でご相談がありましたらメール📩もしくはお電話☎️にてお気軽にご相談ください
<連絡先>
☎️TEL: 03-6454-7522/ 📠 FAX: 03-6454-7533
📩Mail: oliver.ah3737@gmail.com
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